海外にお住まいで日本の年金を受け取れるか確認してみませんか。

海外居住でも年金は受け取れるの?

老後の年金を受給するためには、原則「25年」の受給資格期間が必要でしたが、平成29年(2017年)8月1日から「10年」に短縮されました。この受給資格期間の10年は公的年金の加入期間ですが、『カラ期間』と呼ばれる期間を含みます。思っていたよりずっと短いかもしれません。

日本年金機構「海外にお住まいの方の年金の請求」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/seikyu/20161109.html

どのような年金がいくら受け取れるの?

10年以上でもらうことができるのは、主に自分自身の老後の生活を支えるための次の年金です。障害・遺族年金は短期間の加入でも一定の要件(保険料納付要件)に合えばもらうことができるので、変更はありません。

・老齢基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金
・旧法の老齢・退職の年金・寡婦年金

過去に1年間の企業にお勤めした期間がある場合について、仮に今年の年金額の計算式に当てはめると年収が約150万円の方で年額27,530円/年、年収が約300万円の方では35,176円/年です。額としてはとてもわずかに見えるかもしれませんが、日本でお勤めの期間がもう少し長ければ金額も増えますし、複数の企業で期間を空けてお勤めていても合算されます。そして、多くの場合65歳以降に自分が亡くなるまで終身で受け取れます。自分が支払った保険料分の年金は受け取る権利があるので、請求すれば受け取れます。

『カラ期間』と海外居住

いろいろなカラ期間がありますが、主には国民年金保険料を強制的に払わなくてもよく、任意での加入もしていない以下のような期間です。具体的には昭和36年(1961年)4年以降の20歳~60歳までの期間に該当する必要がありますが、もしかして自分も日本にいた頃の保険料を支払った期間と以下の期間を合わせると10年(120月)になるかも、という方は一度確認してみてはいかがですか。

・日本人であって、海外に居住していた期間
・任意加入した保険料が未納となっている期間

『カラ期間』の代表例は専業主婦(夫)

昭和36年(1961年)4年から昭和61年(1986年)3月までの期間でサラリーマンの配偶者(20歳~60歳)であった期間です。夫でも妻でも該当し、3号扶養であるかは問いませんし、離婚しても結婚していた期間はカラ期間になります。
上記以外にも若い頃日本にて日中の学校に通っていた期間もカラ期間とされる場合があります。

合算対象期間: https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-05.html

コラム:こんなことがありました!

コラム:海外転出/転入のお手続きは忘れずに!

私は2002年5月に新卒から務めていた企業を退職し、そのまま出国以降10年以上の海外で働いていました。その頃はお給料から保険料や税金が引かれていても、関心があるのは「手取り」だけ。海外へ転出するのに手続きが必要?なんて知る由もなく(誰もそんなこと言ってくれなかった!)、国民年金くらいは将来何かのために支払っておこうと口座振替の手続きをして海外へ!その4年後、日本年金機構から435,110円を全額返金しますと。

当時はせっかく払ったのに返金とは何事?おりしも平成19年(2007年)には消えた年金問題で世間では大変な状況に。社会保険労務士の資格を取り、あの当時の状況は私が出国の際に海外への転出手続きをせず、国民年金の1号のままであったことが事後に判明し、4年分の保険料のうち時効2年分は未納状態から充当にて納付、直近2年分は任意加入として納付されたと知りました!

最寄りの年金事務所に2002年当時海外に転出したかどうかの確認はどのように行っていたか聞いたところ、当時は住基ネットもなかったため、お住まいの市役所に『電話』で確認をしていたとのことでした!驚きました。

海外への転出/海外からの転入 海外在住の皆さま https://www.nenkin.go.jp/service/scenebetsu/kaigai.html

お役立ち情報

近年の年金制度は様々な改正があります。今年の年金はちょっとだけ増えました。

・年金を受け取ることができる人は、一般的に65歳から受け取ることができますが、個人の希望により60歳から前倒して受け取ることもできます。その場合は一生に渡り、減額されますが、減額率が少なくなり少し有利になりました。

・同様に65歳を超えても我慢して75歳まで年金の受取りを遅くすることもできるようになりました。その場合は最大で84%の増額となります。

年金の繰下げ受給:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html